百万石の次回予告Column 009

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2008.11.7 On Air Theme 『いっぱいいっぱい』
ここで競馬の話を書くのは本来どうかと思うのだが、と言っても前にも競馬のこと書いているしペンを取らずにいられない気分になった物を 観てしまったので、思うがままに。

2日に行われた天皇賞。すごいレースだった。名勝負として語り継がれるのは間違い無い。
ちょっと前までは牝馬(女馬)は天皇賞を勝てないなんて言われたが、人気を分けあったのは4歳牝馬の2頭、ダイワスカーレットとウオッカ。
レースのゴール前の攻防では、終始先頭のまま粘るダイワスカーレットに、外からディープスカイを競り落として伸びてきたウオッカが迫り、 勝負は首の上げ下げになる。結果的にワンツーを飾ったのもこの牝馬2頭で、他の男馬の猛追を凌ぎきった。タイムは従来のレコードタイムも 更新し(今回は1.57.2)、そして約20分に渡る異例の長さの写真判定。
ひょっとして同着かと思われた矢先に、掲示板の1着のところに14番が灯る。勝ったのは武豊のウオッカだった。

写真判定の結果を待つ間、武豊は「生きた心地がしなかった」とコメントを残している。我々が画面を観る限りでは、ダイワスカーレットが わずかに出ている気もした。それぐらい際どい勝負だった。僅か2cmの差。ゲートを出てすぐさま先頭を切ったダイワスカーレットは、1999m98cmまで 他の馬が前を走ることを許さなかったことになる。

ダイワが作ったレース前半のペースは予想より随分早く、そのハイペースではゴールまで持たないと思われたが、ダイワは結局後半1000Mを 前半以上に早いタイムでしのいでいる。ハナ差2cm負けたとは言え、一番強い競馬をしたのは間違い無くダイワスカーレットであり、勝った ウオッカと同じくらいに讃えられるのではないだろうか。

今年の天皇賞、この牝馬2頭が人気を分け合うということは、他の男馬の実力不足を示していた。牝馬2頭に人気を奪われてしまうようでは、 やもすると低レベルなレースになるのではないかとも言われていた。ところがどっこい平成の名勝負とも言われる結果になった。この理由の一つは、 ウオッカとダイワスカーレットが互いを同世代のライバルとして認め合い、負けたくないという一心で、『いっぱいいっぱい』のレースをしたからで あると思う。


今回のレコードタイムの、前のレコードホルダーだったスペシャルウィークが99年に記録した1.58.0というタイムも、直線を向いてからの各馬の攻防は まさに凄まじいものがあった。勝ったスペシャルウィークも猛追したステイゴールドも死力を尽くした走りを見せた。今回のダイワVSウオッカの図式は 我々ファンならずとも関係者の間でも前々から騒がれていたことだが、それに抵抗するように他の男馬も牝馬2頭に迫らんと力を出し切っていた。 現に、スペシャルウィークのタイムより早い(もしくは同じ)馬が、10頭もいたのだ。例年なら勝ってもおかしくないレベルで皆2000Mを走り切って いる。2頭だけでなく、他の馬の力があってこそ、今回の名勝負となったのだ。

G1レース、しかも格式高い天皇賞という舞台で、ライバルと、メンツと、いろんな負けられない想いがぶつかりあったことで、近年稀に見る好レースが 産まれた。その想いが強かったからこそ、どの馬も「いっぱいいっぱい」の走りをした。もちろん、毎回どのレースでも一生懸命走っているんだろう けれども、今回はその様が差の無いレコードタイム決着という形で、我々ファンに強烈なインパクトを残した。


ウオッカとダイワスカーレットのライバル対決、果たしていつまで続くのか。この天皇賞でトップ争いをしたことで、「牝馬同士の好敵手」ではなく、 「日本調教馬の頂点を争う好敵手」になった。個人的には、スペシャルウィークとグラスワンダーのライバル対決の様相とよく似ていると思う。 この牝馬2頭の闘いは痛快だ。

もう何度もいっぱいいっぱいの対決なんて見ることは出来ない。これだけの死闘を繰り広げた2頭には、これが最後になることなく、今後も無事に レースに出て、また凄まじい闘いを我々ファンに見せてほしいものだ。


今週は「いっぱいいっぱい」というテーマで皆さんのご機嫌を窺います。

それでは金曜深夜23時にお会いしましょう。


2008.11.14 On Air Theme 『はじめまして』
今から8年前くらいの学生の頃、オレは今より体重が40キロくらい重くてしかもスキンヘッド、まるで罰ゲームかとも思えるその風貌は、 見る人によっては明らかにそのスジの人に見えてたと思う。街を歩けばモーゼの如く道が開け、目が合おうものならすぐにそらされる。 とあるサークルの人々から「石島洋介山(元ボクシング太平洋ヘビー級王者)」とあだ名までついていた。

たいてい気の弱い人間ほど怖く見せようと虚勢を張ることが多く、まぁ自分もその一人だったわけだ。今のほうがよっぽど気が強いかもしれん。

面白いのは、そんな風貌でも、悪そうなヤツらばかりでなく普通の人ともきちんと仲良くなれた。ちゃんとした人付き合いってのは、ルックスは あまり関係無いように思ったものだ。そんなコワモテのヤツに「はじめまして」と声をかけるのはそれなりに勇気がいることだろう。それなのに、 学生の時にそうやってシャイでしかも下戸な自分に目線を合わせて手を差し伸べてくれた友人達には、今でも感謝しきりである。

外見が怖いと、人を見かけで判断する人が全く近づいて来ない。人間、ファーストインプレッションで80%判断されるなんて言うが、その残りの 20%に奥ゆかしさだとかが詰まってる気がする。外見がどうあれ実際に話す機会があり、「はじめまして」と挨拶を交わす頃には随分と印象が変わる こともある。
どうせ関わるなら、そこに面白さを求めるべきだ。

「はじめまして」という言葉は、これから色んなことが起こりうる、宝箱のようなものではないかとオレは思うのである。

人付き合いもだいたい固まってきて、今ではあまりはじめましてと言葉を交わすこともなくなったが、
だからこそそういう新しい出会いにはワクワクするもんだ。


今週は、「はじめまして」というテーマで皆さんのご機嫌を、tomoyas.と、はじめましてな大型助っ人が伺います。

それでは金曜深夜23時をお楽しみに。


2008.11.21 On Air Theme 『セーター』
自分がよく行く洋服屋さんがある。
季節の変わり目になると、必ずそこに行って服をいくつか買うことにしている。
ラフ過ぎずかつカッチリし過ぎてもいないけど、どっちかっつーとカッチリ目のその洋服屋、自分の家からはかなり遠い。 電車に乗ってさらにバスに乗り換えて行かなければならない。
なぜオレがそこまでしてその洋服屋に足を運ぶのか。

店長のキャラが濃いからである。

4,5人ほど常駐しているスタッフはだいたい20代の男性なんだけど、その店長の年齢はおそらく50前後か。やたらもみあげが長く、 細身でタイトなパンツとYシャツを纏ったその風貌は、NHKサラリーマンNEOで愛されていたキャラ、セクシー部長を彷彿させる。


もちろんオレの勝手なイメージだが、洋服でも不動産でもDIYでも、どうして細身の中年販売員は右斜め下(こちらから見ると左斜め下)で手もみを しながら営業トークをしてくるのだろうか。これ、だいたい当たってる気がするんだが皆さんはどう思うだろう?
この店長もその法則に当てはまり、オレが最初その洋服屋に訪れた時は気持ちの悪いおじさんだなぁと煙たがっていたのだが、ふと、 店長が発した必要以上の丁寧な言葉にオレの耳は完全に持っていかれた。

「手前共がおススメしておるこの商品でございますけれども・・・・」

・・・・・てまえども?

今時、自分達のことを手前共なんて言わない。オレは、ちょ、手前共て店長、よう言いませんよ普通、と笑いながら応え、 それから店長に心を開いた。

どこでもそうだが洋服を買う時には、店員さんが近付いてきてよくお似合いですなんて言葉をかけられ、似合うと言われることに抵抗を感じる 人とそうでない人はいるだろうが、どちらにしても商売上は似合って無いだなんて普通は言えない。でも、この店長ははっきり言う。
「んぁ〜これはちょっとお客様には向きませんねぇ〜、こちら、こちらなら一気にアダルトの薫りが・・・」
店長はどうも自分とこの客をセクシーにしたいらしい。低姿勢で自分のスタイルをゴリ押ししてくるそのギャップが気に入って、 オレは今でもそこに通う。


ついこないだジャケットを買った時、インナーにセーターを選んだのだが、店長はやたらワインレッドのセーターを推してきた。
ワインレッドはパープルと並ぶ今年の流行色であり、この先10年はアダルトの雰囲気が約束される、出来る男の代名詞、それがワインレッドと 言うのだ。
確かに良い色かもしれないが、オレはどちらかと言うと同じセーターで色違いの紺色のほうが良いと思ったので「こっちの紺色にします」と 言ったが、「いやお客様それは頂けない」と反論。いかに今年ワインレッドがキテるか、手前共がいかに今年はワインレッドをプッシュしているかを 唾液をいっぱい飛ばしながら熱弁されたので、わかりました店長がそこまで言うんだったらワインレッドにしますわとこちらも折れる。 店長は濃い顔をくしゃくしゃにしながら嬉しそうにありがとうございますと、重ねた揉み手を右斜め下に降ろしながらおじぎをした。

家に帰り、ジャケットとワインレッドのセーターを合わせてみた。おぉ、まぁ確かに悪くは無い、むしろ良いかもしれない、さすが店長と思って いたが、サイズが微妙に大きかった。いや、微妙どころか、かなり。

結論:アダルトかつ出来る男はサイズなんて気にしない

これでいいかな?店長。

今週は「セーター」というテーマで皆さんのご機嫌を伺います。

それでは金曜深夜23時にお会いしましょう。


2008.12.5 On Air Theme 『大掃除』
年末、そもそも師走が嫌いな自分は、その嫌いな理由の一つに大掃除がある。
師走ってのは坊さんが走り回るくらいに慌ただしいから師走と呼ばれるのであって、坊さんから見るとゾッキーとあだ名をつけられてもおかしくない くらいに俗世間にまみれた自分だから、この時期は毎度のことながらアホみたいに忙しい。世間が忙しけりゃ自分も忙しいのは、まさに俗世間の ど真ん中にいるからである。

毎日家に帰るころは廃人のような顔をして玄関のドアを開け、明くる朝にはとても残念な顔をしながら仕事に出かける。こんな毎日がひと月過ぎて、 ようやく年末年始の休息を迎える。

何もしない、何もしちゃいけない、どうかすると呼吸さえも、と思いながら布団を噛みしめ味わっていると、嫁が雑巾とバケツを携えてこちらに やってくる。
オレは新年を綺麗な家で迎えるほど高貴な人間じゃない、だって坊さんからはゾッキーなんて呼ばれてる、いや、呼ばれてるかもしれないんだたぶん、 ゾッキーてあれだ雑巾のことじゃなくて俗世間のゾッキーね、なんて白目で言っても嫁は自分に比べたらまだゾッキーのゾくらいなので、 大掃除は必要だと懇々と話す。

ベランダに出て雑巾で窓を拭くくらい楽しく無いものは無い。有酸素運動に近いもんがある。まさに己との闘い。ランニングした後に笑顔で 「気持ちいいね」なんて言う輩がいるが、橋田壽賀子のドラマとかCMの観すぎだ。終わりが来て良かった、やっと終わった、やっと自由になれたと ホッとするのがリアルである。

なかなか綺麗にならない窓を見ると、やつれた自分の顔が映っている。随分ひどい顔だと毎年思う。まるで自分の顔を雑巾で拭くように窓を ゴシゴシ磨く。まるで年内に起きた忌々しい出来事を脳味噌から打ち消すかの如く必死に磨く。すると窓についた垢が徐々に取れていって、 やがてマッサラな窓に戻る。
その瞬間、きれいな窓に映った自分の顔を見ると、さっきのやつれた顔とは違って、美しくになった窓に少しだけ満足したように見える。



・・・・・・というのは嘘で、自分の顔なんか見ずに寒い、なんで大掃除て毎年冬にするんだよ、もう冬将軍のオタンコナス!耳毛ボーボー!と 言いながら家の中に入る。

なんで大掃除て年末なの?別に年度末でいいじゃんね。春やし。


さて、今週は大掃除というテーマで皆さんのご機嫌を窺います。

それでは金曜深夜23時にお会いしましょう。


2008.12.19 On Air Theme 『雪』
我々九州の人間にとって、雪に対してはとにかく「珍しい」というイメージがある。
幼い頃、朝起きると窓の外が銀世界に囲まれていた時は、それはそれは大はしゃぎだった。今日がこの世の始まり、まるで自分が天下を取ったような 気分になったものだ。

しかし大人になり、雪が積もるとおお珍しいと思えども、心躍ることは無くなった。とにかく、色んなものが滞る。
例えば自分が外に出て身動きするのも不便だし、慣れない寒さは自分からやる気というやる気を全部かっさらっていく。なんとか頑張って雪仕様に 自分の頭と身体が変わったころには、すでに外の雪は塗れた地面に水となってキラキラ輝いている。

私は、学生時代の一番時間がある頃にウインタースポーツに触れる機会が無かった。だから、ゲレンデラブというものが理解し難いのだ。
なんだろう、あの銀世界がその人の容姿を高める魔法でもあるのだろうか。それどころか周りにはゲレンデラブのみに憧れていた連中もいた。 雪に囲まれた世界に男は逞しく映り、女はか弱く見えるのだろう。いち早くそういった精神状態に自分を持っていくのなら、ゲレンデに行くよりは さっさと吊橋か心霊スポットに行けばいい。

しかし、私は思うのだ。これこそまさに「食わず嫌い」なんじゃないかと。

実際過去に自分がゲレンデラブの一度や二度、もしくはスキーやスノーボードの才能を見出し、自分の目で次々に変わり行く銀世界を味わうことが 出来たのなら、「雪マジ最高」とこのコラムの冒頭に書き出していたのではないか、と。
人は酒がほとんど飲めない私に向かって「酒飲めないのは人生の半分は損している」と言うが、きっと雪やウインタースポーツにも同じことが 言えるのではないだろうか。

私は、心底教えてほしいのである。雪、そしてウインタースポーツの魅力を。

学生ではなく、大人として、30代としての雪の楽しみ方を教えてほしいのである。

皆さんが、雪ってこんなにいいもんなんだよ、と教えてくれるメッセージ、お待ちしております。

それでは金曜深夜23時にお会いしましょう。


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