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2008.11.21 On Air Theme 『セーター』
自分がよく行く洋服屋さんがある。
季節の変わり目になると、必ずそこに行って服をいくつか買うことにしている。
ラフ過ぎずかつカッチリし過ぎてもいないけど、どっちかっつーとカッチリ目のその洋服屋、自分の家からはかなり遠い。 電車に乗ってさらにバスに乗り換えて行かなければならない。
なぜオレがそこまでしてその洋服屋に足を運ぶのか。

店長のキャラが濃いからである。

4,5人ほど常駐しているスタッフはだいたい20代の男性なんだけど、その店長の年齢はおそらく50前後か。やたらもみあげが長く、 細身でタイトなパンツとYシャツを纏ったその風貌は、NHKサラリーマンNEOで愛されていたキャラ、セクシー部長を彷彿させる。


もちろんオレの勝手なイメージだが、洋服でも不動産でもDIYでも、どうして細身の中年販売員は右斜め下(こちらから見ると左斜め下)で手もみを しながら営業トークをしてくるのだろうか。これ、だいたい当たってる気がするんだが皆さんはどう思うだろう?
この店長もその法則に当てはまり、オレが最初その洋服屋に訪れた時は気持ちの悪いおじさんだなぁと煙たがっていたのだが、ふと、 店長が発した必要以上の丁寧な言葉にオレの耳は完全に持っていかれた。

「手前共がおススメしておるこの商品でございますけれども・・・・」

・・・・・てまえども?

今時、自分達のことを手前共なんて言わない。オレは、ちょ、手前共て店長、よう言いませんよ普通、と笑いながら応え、 それから店長に心を開いた。

どこでもそうだが洋服を買う時には、店員さんが近付いてきてよくお似合いですなんて言葉をかけられ、似合うと言われることに抵抗を感じる 人とそうでない人はいるだろうが、どちらにしても商売上は似合って無いだなんて普通は言えない。でも、この店長ははっきり言う。
「んぁ〜これはちょっとお客様には向きませんねぇ〜、こちら、こちらなら一気にアダルトの薫りが・・・」
店長はどうも自分とこの客をセクシーにしたいらしい。低姿勢で自分のスタイルをゴリ押ししてくるそのギャップが気に入って、 オレは今でもそこに通う。


ついこないだジャケットを買った時、インナーにセーターを選んだのだが、店長はやたらワインレッドのセーターを推してきた。
ワインレッドはパープルと並ぶ今年の流行色であり、この先10年はアダルトの雰囲気が約束される、出来る男の代名詞、それがワインレッドと 言うのだ。
確かに良い色かもしれないが、オレはどちらかと言うと同じセーターで色違いの紺色のほうが良いと思ったので「こっちの紺色にします」と 言ったが、「いやお客様それは頂けない」と反論。いかに今年ワインレッドがキテるか、手前共がいかに今年はワインレッドをプッシュしているかを 唾液をいっぱい飛ばしながら熱弁されたので、わかりました店長がそこまで言うんだったらワインレッドにしますわとこちらも折れる。 店長は濃い顔をくしゃくしゃにしながら嬉しそうにありがとうございますと、重ねた揉み手を右斜め下に降ろしながらおじぎをした。

家に帰り、ジャケットとワインレッドのセーターを合わせてみた。おぉ、まぁ確かに悪くは無い、むしろ良いかもしれない、さすが店長と思って いたが、サイズが微妙に大きかった。いや、微妙どころか、かなり。

結論:アダルトかつ出来る男はサイズなんて気にしない

これでいいかな?店長。

今週は「セーター」というテーマで皆さんのご機嫌を伺います。

それでは金曜深夜23時にお会いしましょう。

 百万石
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